資産配分って何?
投資をする時に、何にどれだけ投資するのかを決めることを資産配分と言います。
ウォール街のランダムウォーカーの著者であるバートン・マルキールは、
個人が投資を行う上で最も重要な意思決定は、人生の各ステージに応じて株式、債券、不動産、マネーマーケット商品などのアセットミックスをいかにバランスの取れたものにするかという決定であろう。
「ウォール街のランダムウォーカー」原著第11版 日本経済新聞社
と述べています.
ちなみにアセットミックスとは、「資産運用において、資産配分(アセットアロケーション)を行った結果による個別資産の構成割合のこと」を言います。
また、ロジャー・イボットソンによれば 、
投資の総リターンの90%は投資家の選択したアセットミックスによって決まる
「ウォール街のランダムウォーカー」原著第11版 日本経済新聞社
とされています。
資産配分アセットアロケーション を行うためにはまず自分がどれだけリスク資産に資産を振り分けるかを決めなければなりません。
ここで無リスク資産とは、現金預金と日本国債のことを言います。
基本的には現金預金で考えれば良いのですが、預金は同一の銀行において、1口座あたり1千万円までしか預金保険法によって保護されないため、それを超える預金残高を持っている方のみ個人向け国債変動10年の組み入れを考えます。
(財務省 個人向け国債変動10年 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/main/outline/hendou/ )
リスク資産にはリスクが中程度の債権と、リスクが高い株式・株式投資・ ETF(上場投信)・REIT(不動産投信)などがあります。
このうち債権については、世界的な金融緩和により利回りが大きく低下しているため、運用資産が相当大きくないのであれば、検討しなくても良いでしょう。
一般の投資家であれば、無リスク資産の現金預金と、リスク資産の株式・投資信託・ETFを組み合わせたシンプルな資産配分を考えれば十分だと思います。

リスク許容度を見極める
資産配分を考えるにあたって、まず大切なのは自分のリスク許容度を見極めることです。
リスク許容度が低い方は資産を無リスク資産に多く配分し、リスク許容度が高い方はリスク資産に多く配分することができます。
リスク資産の代表的なものは株式・株式投信・ETFです。
これらに投資する前に、リスクは投資した期間に比例することを覚えておかなければ行けません。
たとえば、S & P 500インデックスに投資した場合、1年の投資期間では+52.62%から-37.00%の間で年平均リターンが散らばることが研究でわかっています。
しかし、15年以上投資すれば+19.10%から+4.21%の間に年平均リターンが収まり、常にプラスになることもわかっています。
この年平均リターンの散らばりと、自分のリスク許容度を考えて、自分のポートフォリオの株式・株式投信・ETFの組入比率を決めることになります。
上記の表から考えれば、年平均リターンの最大損失は-37%なので、耐えられる損失の最大値が40%の方は、株式等の組入比率の最大値は100%にしても良いでしょう。
反対に、耐えられる損失の最大値が5%であれば。株式等の組入比率の最大値は30%までに抑えておくべきでしょう。
もちろん、暴落時には40%以上の資産価値の下落も十分にあり得ることなので、実際の組み入れ比率は投資家自身の精神的なタフさによります。

ライフサイクルに応じた資産配分
また、リスク許容度とも関係がありますが、ライフサイクルにあった資産配分(アセットアロケーション)が必要となります。
ウォール街のランダムウォーカーで紹介されているアセットアロケーションのモデルをベースに、シンプルに現金預金と株式等(株式・株式投信・ETF)に分け、少しアレンジしたものが以下のモデルになります。
20代から30代前半の方はリスクを大きく取れるため、現金預金に20%、株式等に80%を配分することができます。

30代後半から40代の方は、まだ資産形成期であるため、現金預金に30%、株式等に70%を配分することができます。

50代になれば、勤労収入を得られる期間が短くなるため、少し保守的な資産配分になります。
この場合、現金預金に40%、株式等には60%の配分となります。

60代になれば、資産を取り崩すことも考えなければならないので、保守的な資産配分が必要であり、現金預金に50%、株式等に50%の配分となります。

もちろん、これらはあくまで一般的なモデルであって、投資家それぞれの事情によってカスタマイズしなければいけないことは言うまでもありません。
リバランスでリターンのアップ
いったん資産配分(アセットアロケーション)を決めれば、そのまま何もしなくても良いわけではありません。
リスク資産の価格が上昇して、資産配分のパーセンテージが大きく変わってしまった場合には、高くなったリスク資産を売却し、無リスク資産を増やして元の資産配分に戻します。
反対にリスク資産の価格が下落し、資産配分のパーセンテージが下がっている場合には、無リスク資産でリスク資産を購入し、元の資産配分に戻します。
研究によれば年1回のリバランスで運用のリターンが向上することが分かっています。
全くリバランスを行わない場合には、年平均実現リターンは8.14%パーセントであるのに対し、年1回リバランスを行うと8.41%に運用リターンが向上します。 (引用元:「 ウォール街のランダムウォーカー」)
私の場合は年1回誕生月にリバランスを行なっています。
今回は資産配分について見てきました。
資産配分は、投資家個々人の事情により変化し、これが絶対正解というものはありません。
今回ご紹介したモデルケースを参考に、ご自身で自分の納得する資産配分を考えてみてはいかがでしょうか。
・無リスク資産の現金預金と、リスク資産の株式・投資信託・ETFを組み合わせたシンプルな資産配分を考えれば十分である。
・株式投資の年平均リターンの散らばり・リスク許容度をもとに、自分のポートフォリオの資産配分を決める。
・年1回リバランスを行うと運用リターンが向上する。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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