長期投資の最大のコストとは
2021年5月19日付のモーニングスターのホームページに「潜在的なコストである解約損を回避する方法」という記事がありました。
詳細は同記事を読んでいただくとして、ざっくり内容をまとめると
1.投資信託のコストで最も大きいものは解約損である
2.リーマンショックを経験しても、積立投資の場合3年半から6年で元本を回復した
3.世界経済を広くとらえる投資をしていればプラスリターンの可能性は高い
というものでした。
以下にひとつずつ考えていきます。
1.投資信託のコストで最も大きいものは解約損である
投資信託のコストで最大のものは、値下がりしてしまった時点で解約(売却)してしまうことです。
リーマンショックは、2007年6月をピークとして2009年2月に株式市場が下げ止まるまで、1年9ヶ月間下落相場が続きました。
この間投資家は、自分の運用資産が半分以下になってしまうことに耐えなければならなかったのです。
暴落後は、「こんなに精神的にツライのならば投資なんか止めてしまおう」と考えてしまい、投資信託を売却してしまう方が多数出てきてしまうものです。
しかし下げ相場で売ってしまうと、そこで損失は確定してしまいます。
ですから、ここで踏みとどまれるかどうかが長期投資で成功するかどうかの一つ目の分かれ道なのです。
ちなみに同記事では、購入手数料無料や低い信託報酬の投資信託を選んでも、節約するコストは3%程度しかないということも述べています。
あくまで売却損との比較の話で出てきているのですが、インデックス投資家としては「その3%が長期的に大きな違いを生むんでしょう!」と読んでいて突っ込みを入れたくなりました。
2. リーマンショックを経験しても積立投資の場合3年半から6年で元本を回復した
同記事によれば2006年12月末に積立投資を開始すると、2009年2月時点では47%もの運用資産の下落を経験するが、2012 年12月には元本を上回るそうです。
そしてさらに、2021年4月まで積立投資を継続していれば、投資リターンは91.51%、年換算リターンで5.05%になるということです。
しかし、これは後になってわかることです。
実際投資家は、リーマンショック後の最初の2年は下落相場に耐え続け、次の3年間で元本の回復を祈るような気持ちで待つことになります。
そして元本を回復したところで、やれやれと感じて売却してしまうこともありがちです。
もしその時点で売却してしまうと、暴落で夜も眠れない日々を経験しただけで、その後の上昇相場の恩恵を受けず、元本は増えないままで終わってしまいます。
ここに長期投資で成功するかどうかの二つ目の分かれ道があります。
長期投資ということを本当に腹に落とし込んでいないと、元本を取り戻したことで安心してしまい、株式市場からの長期的なリターンを取り損ねてしまいます。
3.世界経済を広くとらえる投資をしていればプラスリターンの可能性は高い
今後も株式市場は、リーマンショックのように50%以上の暴落をすることがありえます。
そういう時でも元本を回復し十分なリターンを得るためには、10年、20年という長い投資期間を耐えうる商品に投資しなければなりません。
同記事でも世界経済を広く捉える投資をしていけば、長期投資でプラスリターンの可能性は高いと述べています。
ですから、全世界株式型の低コストインデックスファンドで純資産規模が100億円以上のものが投資先の最有力候補になるでしょう。
まとめ
今回は下落時の売却損が最大のコストであるという記事について考えてきました。
長期投資も投資である以上、暴落時に耐えうる心構えが必要であることを肝に銘じておかなければなりません。
株式投資に関する名著を読み返しておくことも、暴落に対する耐性をつけるひとつの手段にはなりえますね。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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