長期投資って何年間
ニッセイ基礎研究所は『「長期投資」って何年間?-資産・投資期間ごとの元本毀損確率』というレポートを公開しています。
レポートの内容を要約すると
1.日本の確定拠出年金の運用対象の50%以上が元本確保型商品である。
2. 米国の401kの資産配分では、株式・バランス型投信を合わせると68%もあり、元本確保型は10%ほどしかない。
3.過去41年間の平均収益率は国内株式が7.4%、外国株式が11.0%であった。
4.日本株では投資期間30年でも元本を毀損した例があったが、外国株では投資期間20年以上、4資産ポートフォリオでは投資期間10年以上では元本を毀損した例がなかった。
5. 20年以上の運用期間を想定し、日本株だけでなくグローバル株式や債券にも分散投資すれば損失の確率は小さい。
ということです。
それぞれについて見ていきましょう。
1. 日本人は元本確保が好き
確定拠出年金の80%以上を占める企業型確定拠出年金の多くは、デフォルトで元本確保商品を設定しています。
このため株式投資の経験のない加入者の多くはリスク商品に変更せず、そのまま元本確保商品の残高を積み上げているのが現状です。
以前勤めていた会社で、企業型確定拠出年金を導入する際、講師の方を呼んで説明会が実施されたことがありました。
しかし説明会終了後の同僚の反応は、「なんだかよくわからない」、「いろいろあってどれを選んだら良いか分からない」というものでした。
結局、元本確保型を選ぶ同僚が多いという状況でした。
まだまだ日本の投資教育が不十分であることをその時実感しました。
2. アメリカ人は株が好き
日本人と比べると、アメリカ人は株式への投資意欲が旺盛です。
米国株式相場も過去には低迷した時期がありました。
しかしここ40年は、何度か暴落を経験しながらも、右肩上がりを続けてきました。
そのうえ日本と違い、公的年金に頼れないという事情と確定拠出年金や個人退職勘定の税優遇が相まって、株式に投資する方が増加しました。
日本人は長らく、老後は公的年金で何とかなると多くの人が考えてきました。
しかし老後2000万円問題をきっかけに、株式投資を考える方が少しずつ増えているようです。
3.過去41年間の平均収益は外国株>日本株>>>定期預金
1980年1月から2020年12月までの41年間の平均収益率は、国内株式が7.4%、外国株式が11.0%ということです。
仮に国内株式に元本100万円を投資していれば、41年後には約1,867万円となり、18倍以上に成長しています。
また外国株式に元本100万円を投資していれば、41年後には約7,215万円となり、72倍以上に成長しています。
一方、この期間の定期預金の平均収益率は2%なので、元本の100万円は2倍強の225万円にしか増えていません。
複利の強烈なパワーを見せつけられます。
4.20年以上外国株式に投資すれば元本割れなし
失われた20年があった日本株式に投資していれば、投資期間が30年でも元本割れした例がありました。
しかし同じ期間外国株式に100%投資していても、元本割れした例はありませんでした。
そのうえ物価上昇を加味して、投資期間を20年に短縮しても、元本割れをしていません。
外国株式強さがわかります。

5.分散投資しよう
同レポートでは株式投資で元本割れを避けたいのであれば、投資期間は20年を想定する必要があると述べています。
また日本株だけよりも、外国株式や債券などに分散した方が損失の可能性が少ないとも述べています。
やはり20年以上の国際分散投資が最適解であるとの結論です。
まとめ
長期で国際分散投資することの優位性が同レポートでも明らかにされました。
このようなレポートをもっと多くの日本人が読むようになれば、株式への投資額も増えるのではないでしょうか。
多くの方が複利のパワーで豊かになり、老後の心配が不要な社会になっていけば良いですね。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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