投信の信託報酬とリターン
日経電子版に 「投信の一物多価は許せるか同じ商品で異なる報酬」という記事が掲載されていました。
内容は、同じ中身のインデックスファンドなのに、信託報酬が異なるものが販売されているというものです。
例として、同じマザーファンドで三菱UFJ国際投信が運用する、記事で紹介された5つのファンドの信託報酬と1年リターンを比較してみました。

すると過去1年のリターンは、信託報酬が最も低いeMAXIS Slim新興国株式のリターンが一番高く、信託報酬が最も高い新興国インデックスオープンのリターンが一番低くなりました。
つまり高い手数料を払ったから、高いリターンが望めるわけではないということです。
eMAXIS Slim新興国株式の信託報酬は100万円あたり年間1870円ですが、新興国株式インデックスオープンは年間1万1000円にもなります。
この違いは運用年数が長くなれば、さらに大きなものとなってきます。
仮に月3万円を年リターン6%から信託報酬を引いた利回りで、20年間運用した場合でシュミレーションしてみましょう。
ここで、新興国株式インデックスオープンは購入時手数料が3.3%かかるので、毎月実際に運用に回されるのは2万9010円とします。
シミレーションの結果ではeMAXIS Slim 新興国株式インデックスの20年後の投資資産は1355万8205円になり、一方新興国インデックスオープンの投資資産は1178万7378円になっています。
その差はなんと177万827円。


新興国インデックスオープンが、販売員から対面で丁寧な説明を受けて販売されるファンドだとしても、そのサービスに177万円以上の価値を見出せるでしょうか。
まさにボッタクリファンドです。
運用会社も販売会社も大変?
記事では「全ての投信の手数料が安い方に収束して行けば、運用会社も販売会社もビジネスが成り立たなくなる恐れもある」とも指摘しています。
しかしより多くの投資家に選ばれるファンドであれば、純資産総額は順調に伸びていくため、たとえ運用コストが低く設定されていても、運用会社の収入は増加していきます。
そうであるから、米国バンガード社があれほど経費率を下げても、ビジネスを続けて行けるのです。
販売会社の取り分についても、信託報酬からの分け前を期待することはやめるべきです。
販売員から丁寧なアドバイスを受けて資産運用したいというニーズも、一定数はあるので、それを選択した方から資産運用のアドバイスフィーとして手数料を取ることにすれば良いのです。
安いのを教えてください
多くの個人客は、同じ中身の商品が別々の商品名で、別々の信託報酬で売られていることを知りません。
これは単に業界の都合でしかないので、はっきりと明示せずに販売を続けることには納得できません。
金融庁は、「重要情報シート」に同工異曲の商品を報酬率とともに全て列挙させる案、を検討しているようですが、実効性に疑問があります。
個人投資家としてはベストプライス(一番手数料が低い)リストの作成を義務付けて欲しいと考えます。
正直な商売こそが、長く続く投資家と販売会社の良い関係に繋がっていくのではないでしょうか。
今日も良い一日です。 ありがとうございます。
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