固定費を減らそう
支出を減らすには、まず毎月支払う固定費を見直すことが大切です。
固定費の中でも、たいていの家庭で大きな支出となっているものは保険、車、家そして携帯電話です。
まずは保険について考えてみましょう。
日本のほとんどの家庭では、何らかの保険に加入しています。
保険と一口で言っても、細かく見ると、医療保障(医療保険)、死亡保障(死亡保険)、老後の生活費保障(個人年金保険)などに分けられます。
保険を見直すときには、これらについて公的な保障が一体どれぐらいあるのかを知らなければ、必要な保障額が分かりません。
また、そもそも保険とは、めったに起こらないが、起きてしまうと生活が破綻してしまうような場合に備えて入るものです。
この考えを前提として、保険に加入するかどうか、保険金はいくら必要かを考えなければなりません。
では、医療保険について考えてみましょう。
医療保険
予期せぬケガや病気になった時の高額な出費に備えて、医療保険に入っている人は多いのではないでしょうか。
私も、50歳手前まで、医療保険に加入していました。
しかし、本当に医療保険が必要かどうか、いろいろ調べた上でもう一度検討し直したところ、不要だと言う結論に至りました。
そのため、今は医療保険に入っていません。
医療保険に入っておくべきかなぁと考えたときに、ぜひ覚えておいていただきたい健康保険から支給される様々な給付を、以下にご紹介していきます。
医療費が高額にならないの?
では、高額な医療費が請求されることはないのでしょうか。
実はあまり知られていない健康保険の制度で、高額療養費の制度があります。
これは1ヵ月の間に、医療費が高額になった場合に、加入する健康保険から医療費が払い戻されるものです。
つまり、高額な医療費に対する健康保険からのキャッシュバックです
例えば、給料(正式には標準報酬月額、ざっくり言えば、いろいろと差し引かれる前の額面の給料)が、28万円以上53万円未満の人の場合、高額医療費を算出する式は次のようになります。
この人が、100万円の自己負担額を病院から請求された場合、この式に当てはめれば自己負担の限度額は87,430円となります。
つまり、100万円のうち実際に負担するのは9万円弱となります。
ただし、高額療養費はいったん立て替える必要があります。
「そんなに高額な費用を立て替えられないから医療保険に入るんだよ」と言う声が聞こえてきそうですがご心配なく。
病院で会計する前に、加入する健康保険から「限度額適用認定証」という書類を交付してもらい、病院の窓口に提出しておけば、高額な医療費を自分で立て替える必要はありません。
ただし、入院中の食費の一部や、個室の差額ベッド代などは除かれます。
そもそも、普通に生活していても毎食べるわけですし、医師の判断や治療の必要性からではなく、自分のわがままで個室に入るのならば、その分は自己負担して当然ではないでしょうか。
でも、先進医療を受けたときに医療費が心配という声もあります。
しかし、先進医療についても、実際に高額な先進医療を受ける人は極めて限られており、また本当に有効な治療法であれば、近い将来には保険対象の治療法となるものです。
ちなみに、高額な先進医療(陽子線治療と重粒子線治療を受けた人(2015人)の割合は令和元年では全入院者(123万4千人)の約0.16%ほどです。(厚生労働省「令和元年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000592183.pdf
長期の入院費用はどうするの?
また、「長期の入院になったら入院費用に困るから」という心配もあります。
しかし、最近は入院日数もどんどん短くなる傾向にあり、実際に高額の入院給付金を医療保険から受け取る人はかなり少ないと思います。
厚生労働省の調査では、平均入院日数は、15~34歳では11.1日、35~64歳では21.9日、65歳以上では37.6日、75歳以上では43.6日という調査結果が出ています。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/toukei.pdf
病気になったら収入がゼロになるの?
「いやいや、ケガや病気で働けなくなったら収入がゼロになるから困る」という心配もあるでしょう。
健康保険では、サラリーマンの場合、労災に当てはまらないケガや病気で会社を休み、収入が無くなっても、給料の1日分の約67% (3分の2)が1年6ヶ月間支給される傷病手当金というものもあります(休業開始後4日目から)。
(傷病手当金の計算はこちらhttps://keisan.casio.jp/exec/system/1539655799)
加入する健康保険によっては、さらに付加給付として傷病手当金が増額されたり、支給される期間が延長されることもあります。
これらの制度を知っていれば、多額の医療費に備えて、医療保険に入っておく必要性は低いのではないでしょうか。
医療保険に加入せずに積立運用したら
医療保険に入らず、毎月5,000円を15年間積み立てて4%の利回りで運用すると、約123万円になり、税引き後でも手取りは約116万円になります。
これは、手術給付金を30万円と日額1万円の入院給付金を86日分もらったのとほぼ同額になります。
万が一、多額な医療費が必要になったときに、運用していたインデックス投信が大暴落し、40%も減額していても、運用額は74万円弱となり、手術給付金の30万円と日額1万円の入院給付金を約44日分もらったのとほぼ同額になります。
入院日数約44日というのは、75歳以上の平均入院日数と同じですね。
また、運用がわからなくて、積立預金しておくだけでも、元本は90万円になります。
半分だけ運用して、残り半分は預金しておくという方法もあります。
こうして考えてみると、先に述べたように入院日数が短くなってきていることから、運用資産の大暴落があっても、医療保険で出費をカバーするよりマシに思えませんか。
ちなみに、毎月5000円の医療保険に入ったつもりで、毎月5000円を23歳から60歳までの37年間積み立て、それを4%で運用をしたとすると、60歳時点では約507万円になり、税引き後でも手元に約450万円残ります。
最近、売られている低解約返戻金特約付きの医療保険では、とてもこのような額が手元に戻るのを期待することができません。
医療保険の保険金はケガや病気にならないと支給されませんが、自分で積み立てたお金は、ケガや病気にならなかったとしても自由に使えるものです。
医療保険は不要に思えませんか。
もう一度、医療保険が必要かどうかよく考え直して、支出の削減をしてみませんか。
・高額な先進医療が必要となる確率は非常に小さい。
・入院期間はどんどん短期化している。
・病気になっても収入は一定期間はゼロにならない。
・医療保険に加入したつもりで、自分で運用すれば、それは大きな資産になる。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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