高いPER
米国株式相場は非常に好調です。
NYダウのPER(株価収益率)は30.60(2021年4月15日現在)、S&P500は46.92、NASDAQ100は39.98(どちらも2021年4月9日現在)となっています。
この中でも、日本の投資信託のベンチマークとしてよく使われるS&P500について詳しくみてみましょう。
S&P500の過去のPERを見てみると、2019年4月1日は24.97、2018年4月1日は22.53、2017年4月1日は23.24でした。
3年前と比べて現在のPERは約2倍になっています。
過去30年の平均PERは24.28なので、これと比べても1.93倍となっており現在のPERが高い水準にあることが分かります。

高い1年リターン
次にS&P500に連動することを目指すインデックスファンドの中でも、最近多くの資金が流入しているeMAXIS Slim米国株式のリターンについて見てみましょう。
同ファンドの2021年4月16日までの1年リターンはプラス52.14%です。
S&P500の過去30年のリターンの平均値は12.17%で標準偏差は17ですから、2標準偏差(シグマ)である46.17を既に超えています。
統計上、2標準偏差内に入る確率は95%です。
また下図の年間リターンのグラフからわかるように、現在このファンドのリターンは非常に稀な高さにあると言えます。

米国株は割高ではない?
これらの指標を見ても、まだまだ米国株は割高ではないという意見もあります。
PERは企業の将来の収益が大きくなれば下がるため、今後企業の業績予想がさらに上向けば、現在の水準でも割高ではないというものです。
しかし過去を振り返れば、やはり平均PERから大きく外れた状態は長続きしませんでした。
平均から外れた値は必ず平均値へと戻っていくのです。
現在の好調な株式相場が、今後も続くと考えない方がむしろ自然でしょう。
全世界同時株安?
今では世界中の株式相場が相互に影響しあっています。
米国株式相場が下落すれば、他の国の株式相場も同時に下落することは、リーマンショックの時の事を思い出せば明らかです。
つまり、米国株式に投資している投資家だけではなく、全世界株式に分散投資している投資家も大きなダメージを受けることになります。
個人投資家はどうすれば良いのか
では私たち個人投資家はどう備えればよいのでしょうか。
まずは現在の自分のポートフォリオをチェックしてみることです。
最初に決めた資産配分よりも、リスク資産割合が大きくなりすぎていないか確かめます。
おそらく、ほとんどの個人投資家のポートフォリオでは、リスク資産の割合が大きくなっていると思います。
ですから必要に応じて、リスク資産の割合を下げる、つまりリバランスを実施します。
iDeCo口座ならば、非課税でローリスクの資産にスイッチングできるので簡単です。
一方、課税口座の場合は、株式への投資を抑え、キャッシュや債券のポジションを多くして適正な資産配分に近づけます。
もちろん、毎月の積立額を減らさないで淡々と続けていくのが長期積立投資家ですから、その部分は維持しても良いでしょう。
しかし、さらに追加で投資が可能になった資金で増額して買い付ける場合、今後の下落リスクを十分に考えた上でご自身で判断してください。
自分のリスク許容度の範囲内で投資することが長期投資には重要なのです。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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