働けなくてももらえます
サラリーマンが業務外のケガや病気による療養のために働けなくなった場合、すぐに収入がゼロになってしまうわけではありません。
そういう時には、健康保険から傷病手当金が支給されます。
実際、平成30年度には約200万件の支給が行われました。
( 第132回社会保障審議会 医療保険部会 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000688661.pdf )
ただし、傷病手当金が支給されるためには、支給される要件を満たしていなければなりません。
②働けないこと
③連続して3日間会社を休んだこと
ではそれぞれの要件を細かく見ていきましょう。
①療養中であること
健康保険で診療を受けることができる範囲であれば大丈夫です。
自宅療養や病後の静養についても傷病手当金は支給されます。
うつ病に対しても支給されるので、症状がひどい場合には無理をせず、専門医に相談してください。
②働けないこと
職場に行って自分の業務ができないということです。
そのケガや病気が休業しなければいけないほどのものでなくても、自宅から病院までが遠く離れており、通院のために事実上職場に行って働けない場合も含みます。
現在職場に行って働くことができるものであっても、将来の病状の悪化を避けるために、医師が療養上休業を要するとして休業させた場合も含みます。
③連続して3日間会社を休んだこと
2日休んだ後で、会社に「お願いだから来てくれ」と頼まれて1日出勤し、その翌日に休んでも連続した3日間としてはみなされません。
要件を満たすには、会社の頼みを断って連続3日休む必要があります。
しかし、連続した3日間のうちに休日や祝祭日が含まれていてもカウントされます.。
また、連続する3日間を有給で処理していても大丈夫です。
いくらもらえるの?
それではいくらもらえるのでしょうか。
ざっくり言って 、1か月間休むと月の給料の3分の2の額です。
1日だけだと、その30分の1になります。
正確に知りたい場合は、人事に自分の「標準報酬月額」を聞いてみましょう。
ちなみに「標準報酬月額」とは社会保険料を計算する基礎となるものです。
減額されることも
休んでいても、会社から給料が全部支払われたり、または一部支払われたりする場合には、その期間は傷病手当金は支給されません。
ただし、会社から支払われた額が傷病手当金よりも少ない場合には、その差額が支給されることになります。
また、同じケガや病気で障害厚生年金や障害手当金を受け取ることができる場合にも、傷病手当金は支給されません。
ただし、1日あたりの障害厚生年金や障害手当金の額が、傷病手当金の額よりも少ない場合には、その差額が支給されます
何日間もらえるの?
最長で1年6ヶ月となっています。
あくまで最長でということなので、全ての方が1年6ヶ月分の傷病手当金をもらえるわけではありません。
全国健康保険協会の発表によると、令和元年度では、平均支給期間は164.59日です。
支給期間は30~31日が最も多く、全体の4割を占めているそうです。
また、2ヶ月以上もらっている人は全体の1割強ということです。
最長に近い1年5ヶ月以上もらっている人は、全体のたった2.4%ほどしかいません。


(全国健康保険協会 現金給付受給者状況調査 令和元年度 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat740/sb7200/sbb7206/20200904/ )
おまけの給付~付加給付
加入している健康保険が、健康保険組合の場合には、支給額が上乗せされたり、支給期間が1年6ヶ月よりも延長される場合があります。
健康保険組合によって、付加給付の内容は異なりますので、加入する健康保険組合に問い合わせてみてください。
ありがたき公的保険
ケガや病気で働けなくなった場合、公的保険でもこのような収入保障のセイフティーネットがあります。
もともとの生活コストを下げておけば、ケガや病気になった場合にも、傷病手当金で生活コストの大部分をまかなうことができます。
生活コストが低ければ、余計な民間保険に加入する必要性は小さくなります。
サラリーマンも体が資本なので、ケガや病気を悪化させて、取り返しのつかない事態になる前に、早めに医師に相談して傷病手当金を受給することも検討しましょう。
ケガや病気が治れば、また仕事に復帰できるのですから。
・支給要件
①療養中であること
②働けないこと
③ 続して3日間会社を休んだこと
・1か月あたりおおむね給料の3分の2の額が支給される。
・最長で1年6ヶ月支給される。
・ケガや病気を悪化させて、取り返しのつかない事態になる前に、早めに医師に相談して傷病手当金を受給することも検討しては。
今日も良い一日です。ありがとうございます。
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