「イェール大学流資産形成術」を読んで投資信託の理解を深める

書評

著者の紹介

著者のデビット ・スゥェンセン氏はイェール大学のCFO(最高投資責任者)です。

著者は140億ドルを超える資産を運用し、その手腕によりイェール大学は過去20年間にわたって、年間16.1%という高いリターンをあげてきました。

最適なポートフォリオ

著者は「賢明な投資家は、まずアセットアロケーション(資産配分)からポートフォリオの構築を始める」として、本書でコアとなる投資対象と非コアとなる投資対象について、著者の見解を紹介しています。

その上で、幅広く分散された株式重視のポートフォリオをすすめています

確かに最近は個人投資家でも、株式ETFへの投資をコアとしながら、非株式ETFを組み入れることにより、様々な投資対象に分散投資することが可能となっています。

しかしイェール大学の資産規模には程遠い個人投資家が、あちこちに分散投資することは考えものです。

投資対象を分散することで、リスクも分散できますが、手数料がかさんだり、管理の手間が増えることは明らかです。

したがって一般的な個人投資家は、株式投資や株式ETFをコアとして投資し、現金や預金の比率でリスクをコントロールすることで十分だと私は考えます。

マーケットタイミング

著者は高パフォーマンスのファンドを追いかけて投資することには否定的です。

過去を振り返ってみれば、一時的に高パフォーマンスを記録したファンドも、その高パフォーマンスを長年にわたって維持できないことが明らかだからです。

ファンド界のスーパースターのほとんどは、その後ひどいリターンに悩まされます。

モーニングスターによる格付けも、あくまでファンドの過去のパフォーマンスによるものでしかないと著者は述べています。

ファンドの格付けは将来の高リターンファンドを探すことには役に立たないのです。

日本の投資信託でも、ホームページ上でモーニングスターによる高い格付けを誇らしげに表示しているものもあります。

しかしそれらはあくまで過去のリターンによるものであり、将来を約束するものではありません。

モーニングスターの格付けを見て投資するファンドを決めるのは、よく言われるように「バックミラーを見て運転する」ようなものです。

本書の中で著者は以下のように述べています

「賢明な投資家は一時的な流行に流されることなく規律を持って独立した姿勢を貫く。

 規律は適切なポートフォリオ目標を慎重に設定することから始まり、その後は選んだポートフォリオに忠実に従う。」

いったん慎重にポートフォリオを組んだら、世間の流れに惑わされず、規律を守って投資方針を堅持することが重要なのです

リバランス

著者はポートフォリオの資産配分率を維持するためには、リバランスが非常に重要だと述べています。

確かにリバランスはその重要性が分かっていても、実行が難しいものです。

好調な投資資産を売り、不調な投資資産を買うか、あるいは無リスク資産に変えなければならないからです。

リバランスには断固とした決意と不屈の精神が必要だ」と著者も述べています。

投資信託と手数料

既にインデックス投資をしている方には常識ですが、著者もアクティブ運用のネガティブな点を指摘しています。

また投資信託に係る様々な手数料について、投資のパフォーマンスを台無しにすることを本書では詳細に説明しています。

近年は日本においても、この点に多くの個人投資家が気づいています。

さらに金融庁がつみたてNISAの対象となる投資信託を大きく絞ったことから、日本で販売されている多くの投資信託が長期投資に値しないことが白日の下に晒されました。

たしかに少数のアクティブファンドは投資家重視の手数料体系を取りつつ、相応のリターンをあげています。

しかし未だ、多くのアクティブファンドが高い手数料体系を維持したまま、金融リテラシーの低い個人に販売されているのが現実です。

著者も「不愉快な投資信託の状況を変えるには投資家教育しかない」と述べており、金融先進国であるアメリカにおいても、この問題が解決されていないことを憂えています。

まとめ

本書はアメリカの投資信託に関する話がメインテーマとなっています。

しかしアメリカの投資信託の問題点が、日本の投資信託の問題点でもあることが本書を読めばよく分かります。

投資信託について、より理解を深めたい方には一読の価値がある本です。

良書を読んで金融リテラシーを高め、賢明な投資家になりましょう。

今日も良い一日です。ありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました